さて、今回もとんがったゲームを紹介していきますよ。
『やきにくくりぷうぴ』の後ではどんな電波ゲーもかすみそうなので、今回はまともな作品を選んでみました。
本日ご紹介するのは『サモンナイト クラフトソード物語』
2004年にゲームボーイアドバンス向けにリリースされたRPGで、あの有名なサモンナイトシリーズの外伝にあたる作品です。クラフトソードだからクソという略称もあるそうですが、流石にクソゲーじゃないのにクソ呼ばわりは可哀想なので私は使ったことがありません。
鍛冶師が集う町を舞台に、町で最高峰の鍛冶師である鍛聖だった亡き父に憧れる主人公が鍛聖を決めるトーナメントに挑むお話で、ライバルと切磋琢磨し夢に向かって邁進する中で、父の死の真相や町に迫る危機を知っていくことになります。
まさに王道といった感のある展開ですがシナリオがしっかりしてるので決して陳腐ではなく、ゲーム市場でも高く評価された作品です。話も面白いですし、キャラクターも個性がはっきりしていて魅力的です。
主人公が鍛冶師であるため使用する武器は自ら鍛造する必要があるというのも、作品の設定を生かした良いシステムでしょう。使用武器の耐久力がなくなった方が敗北する仕様も、鍛聖を目指す鍛冶師として鍛冶の腕で負けるわけにはいかないんだろうなーと納得できる説得力を持っていて好感が持てます。武器が壊れてもハンマーを所持しているから戦えないわけではないはずですしね。
▲相手の武器を破壊するのは骨が折れるが、秘伝の収集には必須
▲作中で入手できるアイテムは大切なもの以外すべて鍛冶の材料にできる。回復アイテムや町で買ったカレーですら例外ではない
▲武器には複数のタイプがあり、同じ武器種でも振り速度など性能の違いもある
▲武器の作り方「秘伝」は親方からもらえるほか、ライバルの武器を破壊したり町の住人と交流することで入手できる
特徴的なバトルシステムを採用しているとはいえ基本は王道なこのタイトルをなぜこのとんがりギャルゲー紀行で取り上げたかというと、本作が百合描写の多さで話題になった作品だからです。
主人公の性別を選べる作品ではどちらを選んでも内容に変化がないか、あっても話が矛盾しないよう会話の一部が修正されるだけであることが多いのですが、この作品に関しては女の子同士の組み合わせになるとむしろ描写が追加されている箇所があるのです。
護衛獣(鍛冶仕事の補助、戦闘中のサポートができる相棒。4キャラクターから選択肢によって選ばれる)をシュガレットにした場合、初対面時に彼女が主人公を一目で気に入るシーンがあるのですが、
主人公を女にした場合は、さらにキスまでされるんですよね(男主人公だとされない)。
シュガレットは亡き父に「息子をムコにやる」と言われていたようで、主人公の許婚であると主張します。
上2枚の画像はその時の会話のもの(『サモンナイト』シリーズでは恒例の夜会話)。男主人公を相手にしているときは急かさないのに、女主人公が相手のときはきっぱり言い切ります。
初対面のシーンは特に男女主人公での違いが大きい場面として知られているので、もしかするとプレイしていなくても知っているという方がいらっしゃるかもしれませんね。一応シュガレットに関しては魂の輝きで人の魅力を感じ取る世界の出身なので女同士でもまったく問題にしていないという事情があるのですが、他のヒロインはそういうのはないので、まあ、どう見ても百合です。
▲友情と恋の境界線上(ときどき思いっきりはみ出す)にいる感じがいいですね
男主人公とライバルの少年の間では恋愛っぽい描写はなかったはず(記憶が確かではないが)なので、百合っぽさが際立っていますね。「そういう目で見るからそう見えるのでは?」と思われるかもしれませんが、公式小説でも主役に女主人公(デフォルト名はプラティ)とシュガレットのペアが抜擢されてイチャイチャしているので、おそらくわざとではないかと。この小説のおかげもあって、一部ファンの間では「シュガ×プラは公式」とされているようです。
▲男のライバルとは親しくなっても互いに好敵手の関係を崩さない。男主人公でも女主人公でも関係は変わらず、認め合いつつもベタベタはしない距離感が微笑ましい
最初のほうで書いたように王道なストーリー、個性際立つキャラクター、特徴的で面白いバトルが揃った面白い作品なので、百合描写に興味がなくても楽しめることでしょう。武器の秘伝を集める収集要素もあり、長く遊べる一作だと思います。
事実、私が初めてプレイした時は男主人公クリュウと小動物風護衛獣クッティのペアにしていましたが、普通に楽しんでいましたからね(当時は露出が大きい女の子を連れ歩くのが恥ずかしかった)。
たぶん作中で最も健全なペアです。好きな組み合わせを試して変化する会話を見比べるのも楽しいと思いますよ。
さて、それでは今回はこの辺で。また次回もよろしくお願いします。